接客業に従事している人の中には「クレーム対応が苦手」「家族や友人と休日が合わない」といった理由から仕事を辞めたいと考えている人もいるのではないでしょうか。この記事では、接客業を辞めたい人にどのような理由があるのかを考察し、辞める前に考えるべきポイントなどについて紹介します。

1.接客業を辞めたい人の主な理由

接客業を辞めたい人が理由として挙げる主な2点について紹介します。

1-1. 土日が休めず連休が少ない

接客業の場合、一般の人の休日に忙しくなることが多いため、土日祝日に休みをとることが難しいケースが一般的です。そのため、家族や友達と休日が合わないことによってプライベートを犠牲にせざるを得ず、その点を不満に思っている人も少なくありません。
また、業種によってはゴールデンウィークやお盆、正月といった一般に連休の時期なども繁忙期となるため、希望通りに連休を取れないことも多くあります。そうすると、家族や友達、恋人などと旅行に行く計画を立てることもできません。また、趣味に没頭することも難しい場合が出てきます。
それから、接客業ではシフト制勤務を採用しているケースも多いため、決まった曜日や時間に休みを取れないケースも多いのです。それによって、プライベートでの予定を立てにくいという不満を感じる人も多いでしょう。

1-2. 給料が上がらず割に合わない

業種によってはクレーム対応やノルマの達成などもしなければならないケースがあります。特に、クレームに関しては提供したサービスの質だけが原因ではない場合もあるのです。お客様の気分や感情による「八つ当たり」のような理不尽な内容も多く、そういったクレームへの対応で精神的に疲れてしまうこともよくあります。すると、「精神的につらいことが多い割に給料が低すぎるのではないか」と感じ、不満を感じている人も少なくありません。
また、良い接客をしたとしても直接、給料に反映されるわけではないため、モチベーションを維持することが難しいこともあります。「お客様に喜んでいただくことで、やりがいを感じられる」と会社が教育するケースも多くありますが、それを「やりがいの搾取」と呼んで問題視する動きも出てきているのです。接客の仕事で精神的なストレスを感じるうえに、給料がなかなか上がらないことで将来性を感じられないという人も増えています。

2.接客業が向いていない人の特徴

接客業自体が向いていないという人にはどのような特徴があるのでしょうか。
接客業が向いていない人に多い3つの特徴について紹介しますので、「自分は接客に向いているのだろうか」と悩んでいる人は参考にしてみましょう。

2-1. 社交性がない

接客業に従事すれば、基本的には毎日のように新しいお客様と会話をすることになります。そのため、人見知りの人や人と話すのが苦手という人にとっては苦痛を感じる仕事内容になってしまうことが多いのです。
また、接客業ではお客様の前で常に笑顔でいなければならず、精神的に落ち込んでいる時や体調が良くない時でも笑顔を作る必要があります。社交性があり、どのような時でも自然に笑顔を作ることができるという人は、接客業に向いているといえるでしょう。しかし、内向的で自分の感情や体調に左右されやすい人や、そもそも、他人と会話することが好きではない人の場合、接客業にはあまり向いていません。

2-2. プライドが高く自己主張が強い

接客業という仕事に対してプライドを持っているなら素晴らしいことです。しかし、仕事に対してではなく、自分自身のことに対するプライドが高い場合は、接客業にあまり向いていないといえます。
接客業をしていると、お客様からのクレームを受ける場合があります。時には、個人的に馬鹿にされたり容姿や話し方をけなされたりといった侮辱的な内容の言葉を投げつけられることもあるのです。そのような時にプライドを傷つけられてお客様に対して言い返してしまうような人は、トラブルの原因となってしまうため、接客業に適していません。たとえ、お客様の主張する内容や伝え方に問題があるとしても、それをストレートに否定するなど自己主張が強い性格の人も、トラブルや衝突の原因を作ってしまいがちです。そのため、自分が悪くない場合でも、「対応が良くない」などと上司や同僚に怒られるかもしれません。

2-3. マイペースで鈍感

接客業においては、お客様の状態を敏感に察知して臨機応変に行動する必要があります。ですから、お客様よりも自分のペースを優先して、ゆっくりと仕事をするようではクレームの原因になってしまう可能性があります。最低でもお客様への気配りや配慮が必要となる職種であるだけに、マイペースで周囲が見えていない人や他人への関心が薄い人の場合は、接客業に向いていないといえるでしょう。
接客業でトラブルを起こさずに仕事をするためには、お客様がどのような対応を求めているかを考えて、スピーディに行動をする必要があります。すぐに対応できない場合は「お待たせして申し訳ございません。あと〇分ほど時間がかかる場合がございます」と先に伝えておくなど、「クレームを防止する」ことを意識した行動も求められるのです。

3.接客業を辞めたいケースで考えるポイント

接客業を辞めたい場合にどう考えるべきかについて、ケース別に紹介します。

3-1. 突然辞めたいと感じたケース

接客業をしていて、突然辞めたいと感じるケースには、主に2つの原因があります。
まず、お客様に大声で怒鳴られたり、理不尽な内容のクレームをつけられたりした場合です。次に、お客様に反論してしまったことを上司から怒られた場合も、「もう仕事に行きたくない」と感じやすいでしょう。
このような出来事によって突然辞めたくなったという場合は、 少し時間を置いて考えてみましょう。「どうしても辞めたい」という強い感情は一時的なものにすぎないケースや、時間が経過すれば気持ちが落ち着いて忘れることができるケースが多いのです。
いつもは問題なく接客の仕事をしている人が、たまたま、嫌な出来事に遭遇して仕事を辞めたいと感じた場合は、性急に退職しないようにしましょう。なかなか不満な気持ちが収まらない場合は少し休んでみたり、ストレス発散をしてみたりして、様子をみることも大切です。

3-2. 前から常に辞めたいと感じているケース

接客業を続けるうちに、毎日笑顔を作り続けることを苦痛に感じるようになる場合があります。また、接客業をしている人の中には「他人に気を使う仕事内容がつらい」「仕事のうえでクレーム対応が多いため、いつも気持ちがめいっている」という人も多くいるでしょう。中には、ストレスをためこんだあまり、体調まで崩してしまう場合もあります。
このようなケースは突発的な出来事によって急に「辞めたい」と思う場合とは異なります。以前からずっと「この仕事をもう辞めたい」と思っている場合は、転職を考えてみるのもよいでしょう。心身のダメージをこれ以上、重ねないためにも、 新しい環境で働くことを検討する必要があるといえます。

3-3. 接客の仕事をスムーズに辞めるには？

接客業といえば、美容師や飲食店、スーパーマーケットや小売店の店員など、さまざまな業種があります。いずれの業種でも接客スタッフの人手が不足しているケースが多いのです。そのため、仕事を辞めたいと伝えた場合でも、なかなか退職を認めてもらえなかったり、退職の時期が決まらなかったりするケースがみられます。
そのような場合では、 退職代行サービスに依頼することによってスムーズに辞められるケースもあります。本人が直接、上司に退職の意思を伝えるのとは違い、第三者から伝えるため、雇用者が不当な理由で引き止めることが難しくなるのです。
もしも、支払われていない給与や残業代がある場合や有給休暇の消化を拒否されるなど退職に関するトラブルがある場合は、 弁護士が雇用先に対応してくれるサービスを利用するようにしましょう。民間の退職代行サービス業者の場合は、辞めたい人に代わって辞意を会社に伝えるところまでしか法的に認められていません。

4.どうしても接客業を辞めたいなら他の業種への転職を考えよう

接客業は、毎日のように違う顧客と会話をするため、やりがいを感じる人と苦痛を感じる人に大きく分かれる職種です。やりがいを感じて楽しく続けられるならよいですが、つらい場合は心身に不調をきたす前に他業種へ転職する必要があります。スムーズに辞められないという場合は、 退職代行サービスに依頼してみてはいかがでしょうか。